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2017年6月30日金曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(18)[1-2]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(17)[1-2]


Ihre Aufgabe ist es, zu systematischen Entscheidungen aufzurufen und solche Entscheidungen in ihren Konsequenzen zu klären.


この文は「AはBである」型で "A ist B" の形になっていますが、このBにあたるのがこの文では es です。

この es というのは英語の it に対応する語で、[三単]です。用法はだいたい英語の it と同じで、基本は「それ」を指す代名詞なのですが、やはり英語の it がそうであるように、時々特殊な使われ方をします。上の文でも es は特殊な用法で登場しています。


特殊な用法というのは、文の中で「~すること」というのを表すのに、とりあえず es と言っておいて、その内容をコンマの後に[zu 不定詞句]で書く、というものです。英語で、とりあえず it と言っておいて、その内容を後で[to 不定詞句]で書くのと基本的にはパラレルです。

[zu 不定詞句]というのは[不定形]に zu を付けた動詞を核として、それに目的語やらなんやらがくっついたものです。英語の[to 不定詞句]を知っている人は、ドイツ語では to の代わりに zu と書くんだな、と覚えればそれでOKです。


英語の場合とちょっと違うのは、例えば上の文でいくと、同じ内容を表すのに、英語ではとりあえず it と書いたりはしないでいきなり[to 不定詞句]を書くのに対し、ドイツ語ではちゃんといったん es と書いて、そのあとにコンマを打って、それから[zu 不定詞句]を書くということです。

つまり、上の文は「その課題は~することである」という意味なのですが、英語ならこれを

Its task is [to 不定詞] ...

と書きますが、ドイツ語では

Ihre Aufgabe ist es, ... [zu 不定詞].

と書くということです。

このあたり、英語では不定詞句が「[不定詞]+[目的語]等」の順番で組み立てられるのに対し、ドイツ語では「[目的語]等+[不定詞]」の順番になるので、いったん es を書いてコンマを打っとかないとごちゃごちゃしてわけがわからなくなるという事情があるのかもしれません。


なお「AはBである」型の文では、AとBは[同格]です。つまりAが[主]で[1格]なのでBも[1格]です。したがってこの文の es も[1格]です。(ちなみに[4格]として登場するときも同じく es です。)


さてこの文では2個の[zu 不定詞]が登場しているのですが、1個は aufzurufen でもう1個は zu klären というように、形が(というか zu の位置が)違います。この事情については次回解説します。


今回のまとめ

  • es は英語の it で、基本は「それ」
  • es の特殊な用法として、「~すること」を表すのに、とりあえず es と書いといて、その内容はコンマの後に[zu 不定詞句]を書く、というのがある
  • 「AはBである」型の文ではAもBも[1格]
  • es の[1格]は es


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