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2017年7月21日金曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(28)[1-3]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(27)[1-3]


Das ist erforderlich, um den Begriff für eine logisch korrekte und kontrollierbare Verwendung vorzubereiten, damit ein jeder versteht, was der andere mit ihm meint.


[ damit 節]の主語が ein jeder で、[ was 節]の主語が der andere です。今回はこの2つの主語について解説します。


まず4つの単語についてですが

・ ein は「1つの~」の不定冠詞(英語の a )

・ jeder は「任意の~」の代名詞(英語の each / every )

・ der は「その~」の定冠詞(英語の the)

・ andere は「他の~」の形容詞(英語の other)

です。なお主語ですから ein jeder と der andere はいずれも[1格]です。性と格語尾については後述します。


次に、 ein と der andere は対応する表現です。「或る~」と「それとは別の~」が対応すると考えてください。すると、後者は前者に依存していることがわかります。「或る~」が決まらないと「それとは別の~」は決まりません。「それとは」の「それ」が「或る~」にあたるわけですから当然ですね。

前者に不定冠詞 ein が、後者に定冠詞 der が、それぞれ割り当てられているのはそのためです。「或る~」を言うときにはいろいろある「~」のうちどの「~」を選ぶかについて限定がありませんが、いったん「或る~」を選んでしまうと、「それとは別の~」にはまさにそれとは別のものでなければならないという限定がかかってきます。だから前者は不定冠詞で、後者は定冠詞なのであり、だから文中で不定冠詞が先に出てきて、定冠詞が後に出てくるのです。


以上を踏まえて、さらに最初の「或る~」はほんとにどの「~」でもいいんだよということを強調するために「或る任意の~」という言い方をします。そのために ein に jeder をくっつけているわけです。

これで ein jeder と der andere の対応についての解説は終了です。


次に性と格語尾について解説します。実はこの文では「或る任意の人」と「それとは別の人」が対比されています。こういうふうに「人」について「或る任意の~」とか「それとは別の~」と言いたいときは、後ろに[男]がくっついているふりをして実際にはその[男]を書かない、という書き方をします。

すると、不定冠詞は[男1格]のときは格語尾を付けませんので ein です。前にある不定冠詞が格を積極的に表示してくれてないわけですから、次に来る jeder が[男1格]を表示することになり、結局「或る任意の人」は

ein jeder [男]

となります。


「それとは別の人」も同様で、まず[男1格]ですから定冠詞は der です。前にある定冠詞が格を積極的に表示してますから、次に来る ander はとりあえずの語尾(弱語尾)になります。[男1格]は弱語尾が -e になる 5/16 の1つですから、結局「それとは別の人」は

der andere [男]

となるわけです。


今回のまとめ

  • ein と der andere は「或る~」と「それとは別の~」の意味で対応
  • 「或る任意の~」と強調したいときは ein jeder
  • 「或る任意の人」と「それとは別の人」を対比させたいときは、後ろに[男]がくっついているふりをして実際にはその[男]を書かない

2017年7月17日月曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(27)[1-3]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(26)[1-3]


Das ist erforderlich, um den Begriff für eine logisch korrekte und kontrollierbare Verwendung vorzubereiten, damit ein jeder versteht, was der andere mit ihm meint.


接続詞 damit で始まる箇所ですが、ここはこれだけで「誰もが~を理解するために」という意味の一個の文になっています(ただし「~を」にあたる部分はコンマの後の was 以下に書かれています)。これを[ damit 節]と呼びます。


この[ damit 節]についてまず、これは意味としては直前の[ um + zu 不定詞句]と同じで、「~するために」という[目的]を表すものだということです。


しかし重要な違いもあります。[ damit 節]の中身はあくまでも[文]だということです。[文]なので

[主]+[述]

の形になっています。[ zu 不定詞句]は[文]未満の[述]だけを取り出したものですので[主]が不特定です。これに対し、[ damit 節]であれば、節の中に[主]を書き込んで特定してやることができます。


次に、[ damit 節]の中身は[文]ですが、これは[副文]だということです。[主文]と[副文]の最大の違いは、[定形]の位置です。[動詞]は[主]が特定されると活用して[定形]になりますが、[主文]だとその[定形]が[第2位]に移動するのに対し、[副文]の場合はこの移動が起こらないのです。

[主文]: [定形]が[第2位]に移動

[副文]: [定形]が移動しない

上の例だと

damit ein jeder versteht, was ...

で、動詞 verstehen (「理解する」、英 understand)が、 ein jeder という[三単]主語を承けて[定形] versteht になっています( ein jeder については次回解説します)。ちなみに、この動詞の語尾 -en を取って -t を付けるというのは、[三単]主語を承けた[定形]の作り方としては最も一般的なものです。

さて、残念ながらこの文では「~を」に当たる部分が、コンマの後の[ was 節]として後回しにされているため(この[ was 節]については次々回にやります)、動詞 verstehen は最初から[主]( ein jeder )の次の[第2位]にあり、その結果、移動してもしなくても[定形]が[第2位]に置かれることになっているのでわかりにくいのですが、[ damit 節]は[副文]なので、この versteht は「移動していない」と考えてください。


ここで、この例文全体の構造についてひとこと触れておきますと、[主文]「それは必要である」の中に(正確にはそれに従属して)[目的]を表示する[ um + zu 不定詞句]があり、その[ um + zu 不定詞句]の中に(それに従属して)[目的]を表示する[ damit 節]があり、その[ damit 節]の中に(それに従属して)その目的語を表示する[ was 節]がある、という四重の入れ子構造になっており、それに伴って述語動詞も4個書かれています。すなわち、

[主文] sein

[ um + zu 不定詞句] vorbereiten

[ damit 節] verstehen

[ was 節] meinen

です。3文目にしてなかなかややこしい文にあたってしまいました。


今回のまとめ

  • [ damit 節]は「~のために」という[目的]を表す
  • [ damit 節]は[文]([副文])なので([ um + zu 不定詞句]と違い)[主]の特定が可能
  • [副文]では[定形]が移動しない
  • 動詞の語尾 -en を取って -t を付けるのは、[三単]主語を承けた定形(現在形)の作り方として最も一般的

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2017年7月16日日曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(26)[1-3]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(25)[1-3]


Das ist erforderlich, um den Begriff für eine logisch korrekte und kontrollierbare Verwendung vorzubereiten, damit ein jeder versteht, was der andere mit ihm meint.


この[zu 不定詞句]には形容詞が logisch, korrekte, kontrollierbare と3個出てくるのですが、格語尾(弱語尾)が付いているのは後ろの2個だけで、 logisch には付いていません。

これは、この logisch が[副詞]として使われていることを意味しています。[副詞]は形容詞、動詞、文全体などを修飾するやつです。ドイツ語では、形容詞が名詞を修飾するときは格語尾を付けるけれども、形容詞、動詞、文全体などを修飾するときは語尾を付けないで原形のまま使います(形容詞、動詞、文全体には[格]がありませんからね)。英語だと -ly を付けて別の単語にしますが、ドイツ語はそのまま使うわけです。

英 [形容詞] logical → [副詞] logically

独 [形容詞] logisch → [副詞] logisch


次に、2個の形容詞の並べ方です。上の例では

logisch korrekte und kontrollierbare

と、

[副詞][形容詞] und [形容詞]

のように、2個の形容詞の間に und (英 and )が入っています。ところがドイツ語では、普通は und を入れずにそのまま並べます。

eine korrekte kontrollierbare Verwendung

これでちゃんと「正確で制御可能な使用」という意味になるわけです。ではなぜこの例では und が入っているかというと、これは副詞 logisch がどこまでかかるかの問題です。もし、

eine logisch korrekte kontrollierbare Verwendung

となっていたら、副詞 logisch は korrekte にしかかかりません。「論理的に正確であり、かつ[論理的かどうかはわからないが]制御可能な使用」という意味になります。他方、間に und が入ると、 logisch は korrekte と kontrollierbare の両方にかかります。

eine logisch korrekte und kontrollierbare Verwendung

これは「論理的に正確で[論理的に]制御可能な使用」という意味になるわけです。


どうしてこうなるのかについては、次の二つのルールを順番に適用すると説明できます。

(1)2個の形容詞にそれぞれ副詞が付いているときは und で繋ぐ

(2)それぞれの副詞が同一なら、前方の1個にまとめることができる

つまり、(1)により、「論理的に正確で、論理的に制御可能な使用」は

eine logisch korrekte und logisch kontrollierbare Verwendung

のように

[副詞][形容詞] und [副詞][形容詞]

の形で並べなくてはならず、

eine logisch korrekte logisch kontrollierbare Verwendung

すなわち

[副詞][形容詞][副詞][形容詞]

はダメということです。


次に(2)により、後方の logisch は省略して前方の1個にまとめることができます。

[副詞A][形容詞] und [副詞A][形容詞]

[副詞A][形容詞] und [形容詞]

にできるということです。そのため

logisch korrekte und logisch kontrollierbare

logisch korrekte und kontrollierbare

となります。以上で説明は終わりです。


今回のまとめ

  • 形容詞を[副詞]として使うときは原形のまま
  • 名詞を修飾する[形容詞]は普通は und なしでただ並べる
  • ただし[副詞][形容詞]と[副詞][形容詞]は und で繋ぐ
  • 両者の[副詞]が同一なら後者を省略してもよい

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2017年7月15日土曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(25)[1-3]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(24)[1-3]


Das ist erforderlich, um den Begriff für eine logisch korrekte und kontrollierbare Verwendung vorzubereiten, damit ein jeder versteht, was der andere mit ihm meint.


まず für は「~のために」とか「~に向けて」の前置詞で、要するに英語の for です。そしてこの für は[4格支配]です。


したがって、この後に付いている名詞 Verwendung は[女4格]で、そのことを表示するために不定冠詞が eine になっています。この機会に、[女]の不定冠詞の格変化を、定冠詞の格変化と並べて確認しておきましょう。

[女1格]die | eine

[女2格]der | einer

[女3格]der | einer

[女4格]die | eine

[男](および[中])と違って、[女](および[複])の場合は、格変化を考えるときに定冠詞と不定冠詞の違いを考慮する必要がありませんから楽ちんです。


次に、この例では不定冠詞の後に形容詞が付いて名詞を修飾しており、それに伴って形容詞の語尾にも変化があります。形容詞の語尾の格変化は、それより前の要素(冠詞とか)が積極的に格を表示しているかどうかで変わってきます。つまり、前の要素が先に格を積極的に表示していれば、形容詞の語尾は識別能力の著しく低い、やる気のな~い語尾になります。それに対し、格を積極的に表示する要素が前に付いていない場合は、形容詞の語尾はここは自分が頑張らねばと思って、積極的に格を表示するような変化を見せます。

さて上の例では、形容詞より前の要素である不定冠詞 eine が積極的に[女4格]を表示していますから、形容詞自身はやる気のない語尾になります。これを[弱語尾]と呼びます。すなわち korrekte と kontrollierbare の -e は、一見すると eine の -e と同じに見えますが、実は[弱語尾]なのです。

ここで[弱語尾]がどれだけ識別能力の低いやる気のない語尾であるかを示すために、[性数]×[格]=4 × 4 = 16 通りの[弱語尾]を列挙してみます。

[男1格] -en [中1格] -en [女1格] -en [複1格] -en

[男2格] -en [中2格] -en [女2格] -en [複2格] -en

[男3格] -en [中3格] -en [女3格] -en [複3格] -en

[男4格] -en [中4格] -en [女4格] -en [複4格] -en

おわかりいただけたでしょうか。そもそも -e と -en しかなく、16分の11が -en です。どっちかわからなければ -en としておけば正解率はほぼ7割です。


もう少し体系的に考えたい場合は、次の「気持ち」を踏まえておくといい感じです。

(1)ほんとは全部 -en にしたい気持ち

(2)でも[1格]と[4格]は -e にしたい気持ち

(3)やっぱり[複]は全部 -en にしたい気持ち

(4)やっぱり[男]は[1格]と[4格]を別のにしたい気持ち

この順番で「気持ち」を慮ってあげると、上の表ができますのでぜひ試してみてください。


このうち(3)は既出の原則「[複]は -en と縁が深い」のまた一つの現れと言えます。また(4)は定冠詞や不定冠詞の格変化に遡ってみるともう少し感覚がわかるかと思います。そこで、定冠詞と不定冠詞の格変化を列挙してみます(ただし[複]には不定冠詞が付かないので一人称単数の所有冠詞 mein で代替します)。

[男1格] der [中1格] das [女1格] die [複1格] die

[男2格] des [中2格] des [女2格] der [複2格] der

[男3格] dem [中3格] dem [女3格] der [複3格] den

[男4格] den [中4格] das [女4格] die [複4格] die


[男1格] mein [中1格] mein [女1格] meine [複1格] meine

[男2格] meines [中2格] meines [女2格] meiner [複2格] meiner

[男3格] meinem [中3格] meinem [女3格] meiner [複3格] meinen

[男4格] meinen [中4格] mein [女4格] meine [複4格] meine

[1格]と[4格]を比較すると、定冠詞でも不定冠詞でも[男]以外は[1格]と[4格]が同じです。逆に言うと[男]だけ[1格]と[4格]が違います。[男]には[1格]と[4格]を別のにしたい気持ちが常に働いていて、それが[弱語尾]の場合にも作用しているということです。

他方、(2)でことさらに[1格]と[4格]が出てきているのは、[男]以外では[1格]と[4格]を同じにしたい気持ちが働いていることの残響とでも言えるかもしれません。


いずれにせよ、 korrekte と kontrollierbare の -e は[女4格]の[弱語尾]だということです。


この文での形容詞の使い方については、まだ述べることがありますが、今回もすでに長くなってしまったのでまた次回に回します。


今回のまとめ

  • für は英語の for で[4格支配]
  • 形容詞の格変化は、それより前の要素が積極的に格を表示しているなら[弱語尾]
  • [弱語尾]は -e と -en しかなく、 -en にしておけば7割の確率で正解
  • [弱語尾]の正確な分布は、(1)全部 -en にしたい、(2)[1格]と[4格]は -e にしたい、(3)[複]は全部 -en にしたい、(4)やっぱり[男]は[1格]と[4格]を別のにしたい、という4つの[気持ち]を尊重してやれば完成する

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2017年7月14日金曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(24)[1-3]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(23)[1-3]


Das ist erforderlich, um den Begriff für eine logisch korrekte und kontrollierbare Verwendung vorzubereiten, damit ein jeder versteht, was der andere mit ihm meint.


今回は[目的]を表す[um + zu 不定詞句]の中身を見ます。まずこの不定詞句の意味としては

概念を|論理的に正確で制御可能な使用に向けて|準備する

den Begriff | für eine logisch korrekte und kontrollierbare Verwendung | vorbereiten

という感じです。


直接目的語は「概念」 Begriff [男]で、この「概念」は前文までで出てきている「概念論で論じられる対象」としての「概念」ですから、定冠詞がついています。すなわち

den Begriff

で[男4格]を表示しているわけです(der | des | dem | den)。


次に

für eine logisch korrekte und kontrollierbare Verwendung

の部分です。まず単語ですが名詞は「使用」 Verwendung [女]です(英 use )。動詞「使う」 verwenden が名詞化したものです。

動詞 verwenden 使う

名詞 Verwendung 使用

動詞の語尾 -en を取って -ung を付けた名詞は常に[女]になります。


それから形容詞が3個。 logisch (「論理的」、英 logical )、 korrekt (「正確」、英 correct)、 kontrollierbar (「制御可能」、英 controlable)です。

最後の kontrollierbar についてですが、これは動詞 kontrollieren の語尾 -en を取って -bar を付けることで「~可能」の意味の形容詞を作ったものです。英語では動詞 control に -able を付けて controllable を作ります(その際 l が一個増えます)が、それと対応する方法です。

英: control → controllable

独: kontrollieren → kontrollierbar


形容詞の使い方については、この例文に即してまだ確認できることがありますが、すでに長くなってしまったので次回に回します。


今回のまとめ

  • 動詞の語尾 -en を取って -ung を付けてできる名詞は常に[女]
  • 動詞の語尾 -en を取って -bar を付けてできる形容詞は「~可能」の意味

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2017年7月13日木曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(23)[1-3]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(22)[1-3]


Das ist erforderlich, um den Begriff für eine logisch korrekte und kontrollierbare Verwendung vorzubereiten, damit ein jeder versteht, was der andere mit ihm meint.


今回は、um +[zu 不定詞句]の形です。これで「~するために」という「目的」を書きます。この文だと、前回見たように[主文]が「それは必要である」なわけですが、それが何をするのに必要なのかという情報を書き足すために、この

um + [zu 不定詞句]

を使います。


[zu 不定詞]として出てきているのは動詞 vorbereiten で「準備する」の意味です。これは分離動詞なので zu が vor- と bereiten に挟まれています。

vorzubereiten


今回のまとめ

  • [um + zu 不定詞句]で「~のために」という[目的]を表示

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2017年7月3日月曜日

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ルーマン読みながらドイツ語勉強(21)[1-2]


Das ist erforderlich, um den Begriff für eine logisch korrekte und kontrollierbare Verwendung vorzubereiten, damit ein jeder versteht, was der andere mit ihm meint.


3文目に突入です。まずは赤字部分をやります。ここだけで1個の文([主文])になっており、かつ文の形はすでに登場済みの「AはBである」型です。[文]=[主]+[述]ですが、

[主]das

[述]erforderlich sein

[文]das ist erforderlich

というふうに sein が[三単]主語を承けて ist に活用し、[第2位]に移動しています。


さて今回の「 A は B である」では B が形容詞 erforderlich です。こういうふうに、形容詞を名詞を修飾するのではなく[述]で使うときは sein の前に原形のまま置きます。

また、この形容詞 erforderlich は動詞 erfordern から作られています。すなわち

[動詞] erfordern 必要とする(英 require )

[形容詞] erforderlich 必要である(英 required )


次に「 A は B である」の A に当たるのがこの文では das です。([中1格]と[中4格]の定冠詞がまったく同形の das ですが、それとは違います。)この das は指示代名詞で、前文で言われたことを「それ」という感じで承けます。上でさらっと触れてしまいましたが[三単]扱いです。英語では this, that, it なんかに対応します。格変化をしますが、ここでは[主]つまり[1格]で das として出てきていますので、まずそれを覚えます。


というわけで

das ist erforderlich

それは必要である

となります。


今回のまとめ

  • 形容詞を(修飾語としてではなく)[述]で使うときは原形のまま sein の前に置く
  • das は前文の内容を承ける指示代名詞(三単)として使える(とりあえず[1格]が das )

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ルーマン読みながらドイツ語勉強(21)[1-2]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(20)[1-2]


Ihre Aufgabe ist es, zu systematischen Entscheidungen aufzurufen und solche Entscheidungen in ihren Konsequenzen zu klären.


二つ目の[不定詞句]です。動詞 klären (英 clarify)は

[4格] | klären

[4格]を|明らかにする

という形で使いますが、どういう点で明らかにするのかも書きたいときは、前置詞 in +[3格] の形で情報を追加します。つまり

[4格] | in [3格] | klären

[4格]を|[3格]の点で|明らかにする

というふうにします。


そこで[4格]目的語から見ますとこれは

solche Entscheidungen

です。「決定」 Entscheidungen [複]については前回やりました。


solch は英語の such に対応する語で「そのような」ですが、英語と同様、その「どのような」の内容は、前に既述の事柄を参照することもできますが、後で説明することもできます。ここでは[複4格]を表示するために solche になっています。

[複1格] die [複2格] der [複3格] den [複4格] die


「どのような」の内容ですが、この文では直前の[不定詞句]に systematische(n) Entscheidungen (体系的決定)が登場しています(語尾を -e(n) としているのは、文中には[3格] -en として出てくるのに対し、こうやって取り出して書くときは[1格] -e にするのが普通だからです)のでこれのことです。それも、単に「体系的な」ということを指示しているというよりは、「概念についての議論によって促された体系的決定」という、前文からこの[不定詞句]に繋がる Entscheidungen に関わる条件付け全体を承けていると読むべきです。


次に[ in [3格]]の部分を見ますと

in ihren Konsequenzen

です。まず Konsequenzen は「帰結」 Konsequenz [女]の複数形です。英語では consequence ですね。英独ともに -ent で終わる形容詞が名詞化したものです。

[英] consequent → consequence

[独] konsequent → Konsequenz [女]

このように、形容詞の語尾 -ent を -enz に換えると必ず[女]になります。そして[複]は必ず -enzen です。


所有冠詞として ihr が付き、[複3格]を表示するために ihren になっています。

[複1格] die [複2格] der [複3格] den [複4格] die

所有冠詞 ihr は[女][複]のいずれかを承けますが、ここでは明らかに直前の Entscheidungen [複]を承けていて[不定詞句]全体では

そのような決定を|その決定の帰結に関して|明らかにする

という意味になっています。


というわけで、文全体としては

「その課題は、体系的な決定を促し、その決定の帰結を明らかにすることである」

という感じになります。


今回のまとめ

  • [[4格] | in [3格] | klären]で[[4格]を|[3格]の点で|明らかにする]の意味
  • solch は英語の such に対応
  • -ent 形容詞から作った -enz 名詞は必ず[女]で、[複]は -enzen

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2017年7月2日日曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(20)[1-2]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(19)[1-2]


Ihre Aufgabe ist es, zu systematischen Entscheidungen aufzurufen und solche Entscheidungen in ihren Konsequenzen zu klären.


この文は[zu 不定詞句]が2個あって、「その課題は…することと~することだ」という形になっているわけですが、まずは最初の「…すること」=[zu 不定詞句]の方を見ます。すると

zu systematischen Entscheidungen aufzurufen

です。[zu 不定詞]の zu の他に、先頭にも zu があります。これは「~へ」の意味の前置詞の zu で、この点でも英語の to と対応しています。この前置詞 zu は[3格支配]です。


次に aufrufen という動詞の用法を確認します。動詞自体の意味としては「呼び出す」ですが、特に

[4格]zu [3格] aufrufen

という形で使うときは、基本的には[3格]に行為を表す名詞を置き、[4格]にその行為主体となる名詞を置きます。すると

[4格](誰か)を|[3格](行為)へと|呼び出す

という感じになり、結果として

[4格](誰か)に|[3格](行為)を|呼びかける(促す・求める・等々)

という意味になります。


それで改めて本文の

zu systematischen Entscheidungen aufzurufen

を見ると、「[3格](行為)を」は書いてあるけど、「[4格](誰か)に」が書いてない(省略されている)ことがわかります。誰に向けているのかは自明、もしくは特に指定する必要がない、という感じでしょう。


次にその「[3格](行為)」の部分を見ましょう。

systematischen Entscheidungen

systematisch は「体系的」という意味の形容詞で、英語の systematic に対応します。Entscheidungen は「決定」 Entscheidung [女]の複数形で、英語の decision(s) に対応します。 -ung は[女]に特徴的な語尾の一つですが -ung 型の[女]は必ず -en を付けて -ungen 型の[複]になります。


[複]の定冠詞の格変化を再度確認しておくと

[複1格] die [複2格] der [複3格] den [複4格] die

ですが、上の Entscheidungen には冠詞類が付いてなくて形容詞だけですから、形容詞の語尾で[複3格]を表示する必要があり、そのため systematischen となっているわけです。


というわけで前文からの繋がりで言うと、「概念についての議論の課題」はまず「体系的決定を促すことである」というところまで読めました。


今回のまとめ

  • 前置詞 zu は「~へ」で英語の to に対応
  • [[4格]| zu [3格]| aufrufen ]で「[4格](誰か)に|[3格](行為)を|促す」
  • -ung 型の[女]は -ungen 型の[複]になる

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2017年7月1日土曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(19)[1-2]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(18)[1-2]


Ihre Aufgabe ist es, zu systematischen Entscheidungen aufzurufen und solche Entscheidungen in ihren Konsequenzen zu klären.


今回は[zu 不定詞]の作り方です。動詞の原形=[不定形]に zu を付けるだけなんですが、動詞の種類によって付ける場所が違います。

といっても、

  • 分離動詞は間に挟む
  • そうでなければ前に付ける

というだけの話です。上の文だと

  • aufrufen は分離動詞なので aufzurufen
  • klären はそうでないので zu klären

となっています。なので、この話で重要なのはどれが分離動詞でどれがそうでないのかを見分けることと、そもそも分離動詞とは何かに触れておくことです。


上に登場した aufrufen (「呼び出す」)は前綴り auf- と動詞 rufen (呼ぶ」)がくっついた結合動詞です。結合動詞の中には[定形]になって[第2位]に移動するときに、前後が分離して後部だけ移動し、前綴りはその場に残る、というものがあり、それを分離動詞と呼びます。

つまり、「~を呼び出す」という[述]すなわち[不定詞句]を考えると

... aufrufen

の形ですが、これが例えば「ルーマンが~を呼び出す」のように[主]をくっつけて[文]にすると、

Luhmann ruft ... auf.

後部の rufen が[定形] ruft になって[第2位]に移動し、前綴りの auf はその場に残っています。これが分離動詞です。


これに対し klären (「明らかにする」)はそもそも結合動詞ではないので分離のしようがありません。「~を明らかにする」の[不定詞句]は

... klären

ですが、これが「ルーマンが~を明らかにする」になると、

Luhmann klärt ... .

のように動詞 klären 全体が[定形] klärt になって[第2位]に移動しています。


では前綴りがついた結合動詞は全部分離動詞なのかと言えば、そうでもありません。

例えばこの klären に前綴り auf- が付いた aufklären (「啓蒙する」)は分離動詞ですが、前綴り ver- が付いた verklären (「晴れやかにする」)は分離動詞ではありません。

つまり、「ルーマンが~を啓蒙する」は結合を分離させて

Luhmann klärt ... auf.

と書くのに対し、「ルーマンが~を晴れやかにする」は分離させないで

Luhmann verklärt ... .

と書くわけです。ある結合動詞が分離動詞なのかそうでないのかは、前綴りを見れば大体わかりますがそれは追い追い。


なお、発音するとき、分離動詞は前綴りにアクセントを置くのに対し、非分離の結合動詞は後部にアクセントを置くという違いもあります。


今回のまとめ

  • [zu 不定詞]は[不定形]に zu を付けて作る
  • この zu は分離動詞なら間に挟み、そうでないなら前に付ける
  • 動詞に前綴りを付けて結合動詞が作られる
  • 分離動詞では[定形]になって[第2位]に移動するのは後部だけ
  • 結合動詞だからといって分離動詞とは限らない
  • 分離動詞は前綴りに発音のアクセントが来る

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