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2017年6月30日金曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(18)[1-2]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(17)[1-2]


Ihre Aufgabe ist es, zu systematischen Entscheidungen aufzurufen und solche Entscheidungen in ihren Konsequenzen zu klären.


この文は「AはBである」型で "A ist B" の形になっていますが、このBにあたるのがこの文では es です。

この es というのは英語の it に対応する語で、[三単]です。用法はだいたい英語の it と同じで、基本は「それ」を指す代名詞なのですが、やはり英語の it がそうであるように、時々特殊な使われ方をします。上の文でも es は特殊な用法で登場しています。


特殊な用法というのは、文の中で「~すること」というのを表すのに、とりあえず es と言っておいて、その内容をコンマの後に[zu 不定詞句]で書く、というものです。英語で、とりあえず it と言っておいて、その内容を後で[to 不定詞句]で書くのと基本的にはパラレルです。

[zu 不定詞句]というのは[不定形]に zu を付けた動詞を核として、それに目的語やらなんやらがくっついたものです。英語の[to 不定詞句]を知っている人は、ドイツ語では to の代わりに zu と書くんだな、と覚えればそれでOKです。


英語の場合とちょっと違うのは、例えば上の文でいくと、同じ内容を表すのに、英語ではとりあえず it と書いたりはしないでいきなり[to 不定詞句]を書くのに対し、ドイツ語ではちゃんといったん es と書いて、そのあとにコンマを打って、それから[zu 不定詞句]を書くということです。

つまり、上の文は「その課題は~することである」という意味なのですが、英語ならこれを

Its task is [to 不定詞] ...

と書きますが、ドイツ語では

Ihre Aufgabe ist es, ... [zu 不定詞].

と書くということです。

このあたり、英語では不定詞句が「[不定詞]+[目的語]等」の順番で組み立てられるのに対し、ドイツ語では「[目的語]等+[不定詞]」の順番になるので、いったん es を書いてコンマを打っとかないとごちゃごちゃしてわけがわからなくなるという事情があるのかもしれません。


なお「AはBである」型の文では、AとBは[同格]です。つまりAが[主]で[1格]なのでBも[1格]です。したがってこの文の es も[1格]です。(ちなみに[4格]として登場するときも同じく es です。)


さてこの文では2個の[zu 不定詞]が登場しているのですが、1個は aufzurufen でもう1個は zu klären というように、形が(というか zu の位置が)違います。この事情については次回解説します。


今回のまとめ

  • es は英語の it で、基本は「それ」
  • es の特殊な用法として、「~すること」を表すのに、とりあえず es と書いといて、その内容はコンマの後に[zu 不定詞句]を書く、というのがある
  • 「AはBである」型の文ではAもBも[1格]
  • es の[1格]は es


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2017年6月29日木曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(17)[1-2]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(16)[1-2]


Ihre Aufgabe ist es, zu systematischen Entscheidungen aufzurufen und solche Entscheidungen in ihren Konsequenzen zu klären.


この文は「AはBである」型の文です。この型の文では、英語なら動詞 be を[主]に合わせて活用させますが、ドイツ語の場合は sein を[主]に合わせて活用させます。

学術論文の場合、[主]は三人称単数([三単])と三人称複数([三複])が圧倒的多数なので、まずはこの二つを覚えます。


すなわち、

【英語】

[不定詞] be → [三単] is [三複] are

【ドイツ語】

[不定詞] sein → [三単] ist [三複] sind

です。


実際、上の文では[主]が ihre Aufgabe と[三単]なので sein は ist に活用しています。


今回のまとめ

  • 英語の be がドイツ語では sein
  • sein は[主]が[三単]なら ist で[三複]なら sind

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2017年6月27日火曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(16)[1-2]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(15)[1-1]


Ihre Aufgabe ist es, zu systematischen Entscheidungen aufzurufen und solche Entscheidungen in ihren Konsequenzen zu klären.


今回から第1段落第2文に突入です。

赤字にした ihre Aufgabe はこの文の[主]で、したがって[1格]です。

この Aufgabe は[女]です。語尾が -e で終わる単数名詞は大抵[女]です。例外もありますが、とりあえず -e で終わっていれば[女]ということにしといて、間違えるたびに覚えればいいです。「語尾が -e だから[女]だと思った」というのはそれなりにリーズナブルな言い訳です。

あとこの名詞は Auf-gabe の形なので Gabe, Abgabe, Angabe, Ausgabe, Beigabe, Eingabe, Hingabe, Maßgabe, Vergabe, Vorgabe, Zugabe, Zurückgabe なんかの似たような形の名詞は、これは全部確実に[女]です。

というわけで、この Aufgabe は[女1格]で、意味は「課題」とか「任務」です(英語の task に相当)。


今回の主役はこの名詞の前に付いている ihre です。これは所有冠詞(「~の」)で、 ihr に格語尾 -e が付いた形です。 これについても「[女]と[複]は似ている」が言えます。


というのも「[女]の」も「[複]の」も、どちらも ihr と書くからです。


次に格変化ですが、後に来る名詞 Aufgabe は[女]ですから、[女]の定冠詞の格変化を復習しておきます。あと、この点においても「[女]と[複]は似ている」ことを確認するために、[複]の定冠詞の格変化も合わせて見ておきます。

[女1格] die [女2格] der [女3格] der [女4格] die

[複1格] die [複2格] der [複3格] den [複4格] die

[女]が[ディ|デア|デ|ディ]なのに対し、[複]が[ディ|デア|デ|ディ]と、[3格]が違うだけで後は同じです。


もう一つ「[女]と[複]は似ている」ことがあって、それは定冠詞も不定冠詞も所有冠詞も格変化の仕方は同じ、ということです。[男][中]では、定冠詞と不定冠詞・所有冠詞で格変化がちょっとだけ違うのですが、[女][複]ではまったく同じなので違いを気にする必要がありません。


すなわち、先の定冠詞の場合と同様に、

[女1格] ihre [女2格] ihrer [女3格] ihrer [女4格] ihre

[複1格] ihre [複2格] ihrer [複3格] ihren [複4格] ihre

となります。

そのうえで、上の文では[女1格]ですから ihre Aufgabe となっているわけです。


ではこの ihr は、何を承けているのでしょうか。[女]なのか[複]なのか、どの名詞なのかは、この文だけ見てもわかりませんので、もう一度前の文を見ないといけません。

Erörterungen über einen Begriff können für sich allein nicht richtige oder unrichtige Resultate ergeben, Wahres oder Falsches entdecken oder feststellen.

すると Erörterungen と Resultate が[複]で Begriff が[男]で Wahres と Falsches が[中]ですから Erörterungen と Resultate のどちらかです。あとは文意から判断して Erörterungen を承けていることがわかります。

つまり「ある概念についての議論は~できない」という前文に対し「では概念についての議論の課題は何かというと」という繋がり方をしているわけです。


今回のまとめ

  • Aufgabe は[女]
  • -e で終わる名詞は[女]が多い
  • [女][複]を承ける所有冠詞は ihr
  • [女][複]に付く不定冠詞・所有冠詞等の格変化は定冠詞と同じ

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2017年6月26日月曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(15)[1-1]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(14)[1-1]


Erörterungen über einen Begriff können für sich allein nicht richtige oder unrichtige Resultate ergeben, Wahres oder Falsches entdecken oder feststellen.


この文は[できない文]ですから、否定文を作るための nicht (英語の not)が付いています。


[述]([不定詞句])において、基本的に nicht は[動詞]の前に付けます。つまり

A11: richtige Resultate nicht ergeben können

A21: unrichtige Resultate nicht ergeben können

B11: Wahres nicht entdecken können

B21: Falsches nicht entdecken können

C11: Wahres nicht feststellen können

C21: Falsches nicht feststellen können

というふうにつけます。


日本語だと

「…を|~する|ことができ|ない」

の順番ですが、ドイツ語だと

「…を|ない[~することが|できる]」

みたいになる感じです。


この[述]に[主]がくっついて[文]になると、最後尾の[不定形] können が[定形](上の文のように[複主]の場合は[定形]も können )に変化して[第2位]に移動することについては前に解説しました。


つまり

A11': [複主] können richtige Resultate nicht ergeben

A21': [複主] können unrichtige Resultate nicht ergeben

B11': [複主] können Wahres nicht entdecken

B21': [複主] können Falsches nicht entdecken

C11': [複主] können Wahres nicht feststellen

C21': [複主] können Falsches nicht feststellen

となるわけです。


以上が「原則こうなる」という話ですが、上の文を見ると nicht はそういう位置には付いていませんし、そもそも1個しか書いてありません。そこで次に、この点について解説します。


まず、この文の意味としては

「ある概念についての議論は、それ自体では、正しい結論をもたらすこともできないし、正しくない結論をもたらすこともできないし、真を発見することもできないし、偽を発見することもできないし、真を確定することもできないし、偽を確定することもできない」

ということで、

[A11, A21, B11, B21, C11 und C21]

の形になっています。これは論理的に

nicht [A1, A2, B1, B2, C1 oder C2]

の形に変形することができます([否定の連言]=[[肯定の選言]の否定])。

上の文における nicht も、まさに[[肯定の不定詞句]の選言]( oder による連結)の前に置かれて、[否定の連言]と同内容のことを述べていることが確認できるはずです。


今回のまとめ

  • 否定文を作るときは nicht を使う(英語の not)
  • [否定の不定詞句]では、基本的に nicht は動詞の前に置く
  • [否定の連言]を[[肯定の選言]の否定]に書き換えるときは nicht を[肯定の選言]の前に置く


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2017年6月25日日曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(14)[1-1]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(13)[1-1]


Erörterungen über einen Begriff können für sich allein nicht richtige oder unrichtige Resultate ergeben, Wahres oder Falsches entdecken oder feststellen.


この文には oder が3個もあってごちゃごちゃしていますので、その辺をちょっと整理します。

oder は英語の or と同じで「あるいは」「もしくは」「または」の接続詞です。接続詞なので何と何を接続しているのか、その接続が文の中でどういう位置を占めているのかを把握することが大切です。


まず、一番最後の oder に注目するとわかりやすくなります。

英語の or もそうですが、「AまたはBまたはC」を表すのにドイツ語では

A, B oder C

と書きます。文中の「一番最後の oder 」がまさにこれです。つまりこの文では

A: richtige oder unrichtige Resultate ergeben

B: Wahres oder Falsches entdecken

C: (Wahres oder Falsches) feststellen

という3個の[述](動詞の不定形が核になるという意味で[不定詞句]と呼びます)が「または」の意味で並列していて、

A, B oder C

の形になっているわけです。


すると、最初の2個の oder の役割も見えやすくなります。

1個目の oder は[不定詞句]Aの中にあって、2個の形容詞を(したがって2個の目的語を)「または」の意味で接続しています。

2個めの oder は[不定詞句]Bの中にあって、2個の名詞を(したがって2個の目的語を)「または」の意味で接続しています(省略されていますが[不定詞句]Cにおいても同様です)。


このことは、[不定詞句]Aはさらに2個の[不定詞句]

A1: richtige Resultate ergeben

A2: unrichtige Resultate ergeben

に分解でき、同様に[不定詞句]Bも2個の[不定詞句]

B1: Wahres entdecken

B2: Falsches entdecken

また[不定詞句]Cも2個の[不定詞句]

C1: Wahres feststellen

C2: Falsches feststellen

に分解できるということを意味しています。


つまり本来は

[richtige Resultate ergeben], [unrichtige Resultate ergeben], [Wahres entdecken], [Falsches entdecken], [Wahres feststellen] oder [Falsches feststellen]

のように6個の[不定詞句]が A1, A2, B1, B2, C1 oder C2 の形で繋がっているのを、[不定形]が共通のものや[目的語]が共通のものを省略してまとめた結果、A, B oder C の形になっているわけです。


今回のまとめ

  • oder は「または」の接続詞
  • 3つ(以上)繋ぐときは A, B oder C の形にする

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2017年6月24日土曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(13)[1-1]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(12)[1-1]


Erörterungen über einen Begriff können für sich allein nicht richtige oder unrichtige Resultate ergeben, Wahres oder Falsches entdecken oder feststellen.


この文は単なる[する文]ではなく[できる文]です(本当は[できない文]なのですが、否定についてはもう少し後でやります)。

[できる文]を作るとき、英語では can を使いますが、ドイツ語では können を使います。


まずは[述]だけ取り出して(つまり[不定形]で)順番を確認します。目的語と動詞のときと同様に、動詞と können の順番も日本語の順番と同じです。日本語だと

「~を|もたらす|ことができる」

「~を|発見する|ことができる」

「~を|確定する|ことができる」

と書きますが、ドイツ語でも

... | ergeben | können

... | entdecken | können

... | feststellen | können

と書きます。


ところがこの[述]が[主]とくっついて[文]を作る際に、次の2つのことが起こります。

(1)最後尾の[不定形]だけが[定形]に変化

(2)変化した[定形]が[第2位]に移動

この例では最後尾は können ですから、これが[定形]に変化して[第2位]に移動するわけです。

ただし、これは[主文]のときだけで、[副文]ではこうはなりません。[主文]/[副文]の区別については、[副文]が出てきたときに解説します。


上の文のように Erörterungen が[主]としてくっついたとします( über einen Begriff は省略します)。この名詞は[複]なので、[不定形] können が[定形] können に変化します([主]が[複]のときは形が変わらないのでした)。そしてこの[定形] können が文の中の[第2位]に移動するわけです。つまり[主] Erörterungen が[第1位]に置かれる場合、

Erörterungen können ... ergeben

Erörterungen können ... entdecken

Erörterungen können ... feststellen

という順番になるわけです。

上の文でも(間に入ってるいくつかの要素をとりあえず省略すると)

[主][können の定形][目的語][不定形]

の順番に並んでいるのが見て取れるかと思います(ただしこの文は本来は3個の文であるものを1個の文に圧縮しているので[主]や können が1個しか書かれていませんが)。


今回のまとめ

  • [できる文]は können を使う
  • [できる文]の[述]は日本語と同様に[動詞の不定形 | können]の順番で並べる(「~する|ことができる」)
  • [主]とくっつくと、[述]の最後尾の動詞が[定形]になって[第2位]に移動する(ただし[主文]のときだけ)

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2017年6月23日金曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(12)[1-1]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(11)[1-1]


Erörterungen über einen Begriff können für sich allein nicht richtige oder unrichtige Resultate ergeben, Wahres oder Falsches entdecken oder feststellen.


今回は目的語と動詞の順番についてです。


以前、動詞には不定形と、[主]が決まった定形の2つの形があると説明しましたが、まずは不定形のときだけやります。つまり、「文」というのは[主]と[述]が組み合わさってできるのですが、[述]だけを取り出したらどうなるかという話です。


上の文には、

「正しい結果もしくは正しくない結果をもたらす」

「真もしくは偽を発見する」

「真もしくは偽を確定する」

という[述]が含まれておりますが、日本語ではこのように

「~を|もたらす」

「~を|発見する」

「~を|確定する」

という順番で書きますね。


じつは不定形の場合、ドイツ語も日本語と同じ順番で書きます。すなわち、

「正しい結果もしくは正しくない結果を|もたらす」 richtige oder unrichtige Resultate | ergeben

「真もしくは偽を|発見する」 Wahres oder Falsches | entdecken

「真もしくは偽を|確定する」 Wahres oder Falsches | feststellen

というふうに、[目的語]+[不定形]の順番で書くわけです。上の文ではこれら3個の動詞は全部不定形ですから、実際この順番に並んでいます。


しかしなぜこれらの動詞は定形でなく不定形なのか、どんな条件を満たすと定形になるのか、定形になったら順番はどうなるのかについては次回やります。


今回のまとめ

  • 不定形の場合、日本語と同様に[目的語]+[不定形]の順番で書く(「~を|…する」)

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ルーマン読みながらドイツ語勉強(11)[1-1]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(10)[1-1]


Erörterungen über einen Begriff können für sich allein nicht richtige oder unrichtige Resultate ergeben, Wahres oder Falsches entdecken oder feststellen.


今回は残りの2個の動詞 entdecken と feststellen に注目します。それぞれ「~を発見する」「~を確定する」で、直接目的語として[4格]名詞をとります。

この文では Wahres と Falsches が[4格]名詞として、上の2個の動詞の直接目的語になっています。

ところがこの2個の名詞はちょっと特別な作られ方をしていて、格の表示の仕方もちょっと特別な感じになっているので、順を追って見ていきたいと思います。


まずこの2つは、2個の形容詞「真の~」 wahr と「偽の~」 falsch がそのまま名詞化したものです。単に「名詞化」と言わずに「そのまま名詞化」と言ったのは、接尾辞を付けることによって名詞化する方法もあるがそれとは違う、ということを示すためです。接尾辞を付ける方法というのは、形容詞に -heit を付けるもので、

「真の~」 wahr → 「真」 Wahrheit [女]

「偽の~」 falsch → 「偽」 Falschheit [女]

という感じです(名詞なので語頭が大文字化しています)。接尾辞 -heit が付いてできた名詞は必ず[女]です。


これに対し、「形容詞をそのまま名詞化」した名詞は必ず[中]です。なので、上の Wahres と Falsches はいずれも[中4格]です。


ところで「形容詞をそのまま名詞化」と言いつつ、この文に登場しているのは Wahr ではなく Wahres であり、 Falsch ではなく Falsches です。つまり、

wahr → Wahr → Wahres

falsch → Falsch → Falsches

というプロセスを経ているはずなのですが、ここまでの説明では最初の矢印までしか達していません。語尾に -es が付いているのはなぜかを説明する必要があります。


そのためにまず、[中]の定冠詞の格変化を覚えます。

[中1格]das

[中2格]des

[中3格]dem

[中4格]das

カタカナで「ダス|デス|デム|ダス」と10回唱えてみてください。はいこれで覚えました。


形容詞の「そのまま名詞化」に戻ります。ポイントは、形容詞の後ろにあたかも[中]がくっついているかのように形容詞を格変化させたうえで名詞化する、ということです。

つまり、まず

wahr + [中]

falsch + [中]

という並びを考えます。前回説明したように「定冠詞も不定冠詞も付いてないときは(あれば)形容詞の語尾で「格」を表示」します。その際、定冠詞の格変化に見られる特徴的な語尾を使うのですが、特徴的な語尾というのは[中]の場合は次のとおりです。

[中1格]das → -es

[中2格]des

[中3格]dem

[中4格]das → -es

[中1格][中4格]では -as ではなく -es になることに注意してください。


この文の2個の名詞は[中4格]ですから、 wahr と falsch に語尾 -es を付けて、

wahres + [中]

falsches + [中]

となります。あとは、「あたかも」的に付けた[中]を取って、形容詞の語頭を大文字化すれば「形容詞のそのまま名詞化」は完成です。

Wahres [中4格]

Falsches [中4格]


今回のまとめ

  • 形容詞に接尾辞 -heit を付けて作った名詞は[女]
  • 形容詞をそのまま名詞化すると[中]
  • [中]の定冠詞の格変化は das, des, dem, das (ダス|デス|デム|ダス)
  • [中]形容詞語尾の格変化は -es, -es, -em, -es
  • 形容詞をそのまま名詞化する場合、あたかも後ろに[中]が付いているかのように格を表示したうえでその[中]を除去して作る

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2017年6月22日木曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(10)[1-1]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(9)[1-1]


Erörterungen über einen Begriff können für sich allein nicht richtige oder unrichtige Resultate ergeben, Wahres oder Falsches entdecken oder feststellen.


この文では「~できる」 können に3つの動詞がくっついています。

「もたらす」 ergeben

「発見する」 entdecken

「確定する」 feststellen

この3つです。


今回は最初の ergeben に注目します。これは「~をもたらす」ですので直接目的語として[4格]名詞をとります。

この文では「正しい結果、もしくは正しくない結果をもたらす」で、目的語が richtige oder unrichtige Resultate です。


まず、名詞は「結果」 Resultate [複]です。単数のときは Resultat [中]です。すなわち

「結果(単数)」 Resultat [中]

「結果(複数)」 Resultate [複]

です。語尾に -e が付いて複数形になっています。


Resultate の前に付いている richtige と unrichtige は形容詞で、この名詞を修飾しています(間に入っている oder は「あるいは」の接続詞です(英語の or ))。定冠詞も不定冠詞も付いていません。こういうときは唯一付いている形容詞の語尾が、名詞の格を積極的に表示します。


格語尾の話に入る前に、形容詞それ自体を眺めてみますと、

正しい   richtig

正しくない unrichtig

どちらも接尾辞 -ig をもっていること、また後者は前者の否定で、それを接頭辞 un- が示していることが見て取れます。どちらも形容詞を作るときに頻出するものです。


この文には出てきていないのですが、やはり基本は定冠詞の格変化なので、ここで[複]の定冠詞の格変化を覚えます。

[複1格]die

[複2格]der

[複3格]den

[複4格]die

カタカナで「ディ|デア|デン|ディ」と10回唱えてみてください。はいこれで覚えました。


形容詞の語尾で格を積極的に表示する場合も、この定冠詞の格変化に見られる特徴的な語尾を使うのですが、特徴的な語尾というのは次の赤字部分です。

[複1格]die

[複2格]der

[複3格]den

[複4格]die

[複1格]と[複4格]は -ie ではなく -e なので、ここだけ注意してください。


今回の例は名詞が[複4格]ですから、2つの形容詞 richtig と unrichtig の語尾に -e を付けて oder で繋ぎ、名詞の前にくっつけると

richtige oder unrichtige Resultate

の完成です。


今回のまとめ

  • [複]の定冠詞の「格変化」は die, der, den, die (ディ|デア|デン|ディ)
  • 定冠詞も不定冠詞も付いてないときは(あれば)形容詞の語尾で「格」を表示
  • 接続詞 oder は英語の or

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2017年6月20日火曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(9)[1-1]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(8)


Erörterungen über einen Begriff können für sich allein nicht richtige oder unrichtige Resultate ergeben, Wahres oder Falsches entdecken oder feststellen.


今回は副詞句 für sich allein です。意味は「それだけでは」です。

実は für sich だけでも「それだけでは」なのですが、「~だけ」の副詞 allein が付いて強調されています。


この allein は英語の alone に対応する語です。そして両者とも「全部で一つ」という感じに分解できます。

alone = all + one

allein = all + ein

英独とも「全部」は all で、ドイツ語の「一つ」は ein です(不定詞で習ったとおり)。


次に für sich ですが、まず für は「~に対して」の前置詞です(英語の for )。この für は[4格支配]です。


そして

für + [再帰代名詞]

で「それだけでは」という意味になります。「再帰代名詞」というのは[主]と同じ対象を指す代名詞です。そのため「 für + [再帰代名詞]」という形は、[主]が自分自身に対面している自己完結的な感じになります。そのため「それだけ」という意味になるわけです。


前回、学術論文では[主]は[三単][三複]だけ覚えとけば大抵OKという話をしましたが、ということは[再帰代名詞]も[三単][三複]だけ覚えとけばOKです。

そして[再帰代名詞]は[三単][三複]ともに、しかも[3格][4格]ともに sich 一択です。つまり


[再帰代名詞]

[三単3格] sich

[三単4格] sich

[三複3格] sich

[三複4格] sich


です。


ちなみにこの文では[主]は「議論」 Erörterungen [複]、そして「 für は[4格支配]」ですので、この文の für sich の sich は[三複4格]です。


今回のまとめ

  • 「~だけ」 allein = all + ein
  • [再帰代名詞]は[主]と同じ対象を指示
  • für は「~に対して」の前置詞で[4格支配]
  • für sich は「[主]だけ」の自己完結感
  • [三単][三複]の[再帰代名詞]は[3格][4格]ともに sich 一択

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2017年6月19日月曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(8)[1-1]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(7)


Erörterungen über einen Begriff können für sich allein nicht richtige oder unrichtige Resultate ergeben, Wahres oder Falsches entdecken oder feststellen.


「文」は基本的に主語と述語で構成されます(以下[主][述]と表記します)。

[主]の核は「名詞」ですが、[述]の核は「動詞」です。

上の文の中には können, ergeben, entdecken, feststellen の4つの動詞が挙がっていますが、今回注目するのは können です。


動詞は辞書の項目として載っているような「不定形」と、文の中で「誰の行為か」が定まった(つまり[主]と結びついた)「定形」に分けられます。日本語で言うと、ただの「食べる」は不定形だけど「私が食べる」の「食べる」は定形、というイメージです。

動詞の定形は主語の「人称」と「数」によって形が変わります。

「人称」には一人称、二人称、三人称の3つがあり、「数」には単数と複数の2つがあります。さらに二人称に敬称と親称の2種類があったりするため

「人称」×「数」= 4 × 2 = 8 通り

の定形があることになります。初学者はこれを覚えるのがものすごく大変で、多くの人にとって躓きの石になっていると思います。


ただ、学術論文の中で出てくる主語の圧倒的多数は[三人称]ですから、主語が三人称の単数の場合と複数の場合([三単][三複]と表記します)の区別がつけば、それで大抵は用が足ります。


上の文中の4つの動詞のうち[定形]は今回注目する können だけで、後の3つは[不定形]です。そして主語は前回見たとおり「議論」 Erörterungen [複]です。

そこで今回は[三複]の[定形]を確認します。なお動詞 können は「~できる」の意で、英語の can に対応する動詞です。

[不定形]  können

[三複定形] können

見ればわかる通り、[三複定形]は[不定形]と同じ形です。[不定形の]語尾の -en を取って、やっぱり -en を付けたと言えば、前も言った「[複]は -en と縁が深い」のもう一つの例となりましょう。


今回のまとめ

  • 動詞は[主]が決まると[不定形]から[定形]になる
  • [人称]×[数]で8通りの[定形]がある
  • 論文読むときは[三単]と[三複]の2通りで大抵いける
  • [三複]は[不定形]と同じ形

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2017年6月18日日曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(7)[1-1]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(6)[1-1]


Erörterungen über einen Begriff können für sich allein nicht richtige oder unrichtige Resultate ergeben, Wahres oder Falsches entdecken oder feststellen.


「ある概念についての議論」 Erörterungen über einen Begriff ということで、実はこれがこの文の「主語」になっています。

「ある概念について」 über einen Begriff は前回やったので、今回は「議論」 Erörterungen に注目します。これは[複]で、主語なので[1格]です。つまり[複1格]です。

定冠詞も不定冠詞も付いていないので、これが[複1格]であることは特に表示されていません。


そこで今回は名詞の単数形と複数形を比較してみます。この単語は単数では Erörterung [女]です(語尾 -ung は必ず[女])。


[女]Erörterung

[複]Erörterungen


一目瞭然ですが、語尾 -en を付けることで複数形になっています。複数形の作り方には元の単数名詞の形に応じていくつかありますが、この -en を付けるやつが最も多く、わからなければとりあえず -en を付けておけば結構な高確率で正解です。

特に -ung 型の名詞([女])は必ず[複]が -en 型になります。

あと、これもおいおいわかってきますが[複]は語尾 -en と大変に縁が深いです。


「議論」 Erörterung [女]という名詞のでき方についても確認しておきます。

これは元に「議論する」 erörtern という動詞があって、それが名詞化したものです。


[動詞]erörtern

[名詞]Erörterung


並べると一目瞭然ですが、動詞の語尾 -n を取って、語尾 -ung を付けると名詞になるわけです(語頭を大文字にするのは言うまでもありません)。


今回のまとめ

  • -ung 型の[女]は -en を付けると[複]になる
  • 動詞から語尾 -n を取って代わりに語尾 -ung を付けると名詞([女])になる(ことがある)

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2017年6月17日土曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(6)[1-1]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(5)


Erörterungen über einen Begriff können für sich allein nicht richtige oder unrichtige Resultate ergeben, Wahres oder Falsches entdecken oder feststellen.


今回から「文」が始まります。文になった途端にものすごく多くの要素が一気に入ってきますが、一歩一歩いきます。


まず注目するのが über einen Begriff の部分です。「概念」 Begriff [男]はすでに習った名詞ですね。

Begriff の前に付いている einen は「不定冠詞」です。ドイツ語の不定冠詞も英語の a と同じく「1つの」という意味です。

そして不定冠詞も、定冠詞と同じく名詞の「格」を表示します。 einen Begriff は、この Begriff が[男4格]であることを表示しています。


[男]の不定冠詞の格変化を、定冠詞の格変化と並べてみます。

[男1格]der | ein

[男2格]des | eines

[男3格]dem | einem

[男4格]den | einen


並べてみると一目瞭然ですが、定冠詞は d- が基本になって、それに -er, -es, -em, -en がくっついています。そして不定冠詞は ein- が基本になって、([男1格]を除いて)やはり -es, -em, -en がくっついている形です。唯一の違いは[男1格]を表示する不定冠詞は定冠詞と違って何も( -er を)付けないということです。

というわけで einen Begriff は[男4格]です。


次に、なぜここで[4格]となるかですが、これは「前置詞の格支配」です。

über einen Begriff の über はここでは「~について」を意味する前置詞です。そして「~について」の über は[4格支配]です。そのため「ある概念について」 über einen Begriff というときの einen Begriff は[男4格]になっているわけです。


今回のまとめ

  • 不定冠詞の形(格変化)も名詞の「格」を表示
  • 定冠詞は d- を、不定冠詞は ein- を基本として語尾が「格変化」
  • [男]の不定冠詞の格変化は([男1格]以外)定冠詞の格変化と同じ
  • [男1格]では、不定冠詞は ein のままで語尾が付かない
  • 「~について」の前置詞 über は[4格支配]

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ルーマン読みながらドイツ語勉強(5)[タイトル]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(4)[タイトル]


Der Funktionsbegriff in der Verwaltungswissenschaft


もう1個の名詞「行政学」 Verwaltungswissenschaft [女]の方は、実はこれは[3格]です。どうしてこれが[女3格]になるのかというと、これも「日本語の助詞との対応からははみ出す「格」の用法」で、今回後半で述べます。


とりあえず「定冠詞」を見てみると der Verwaltungswissenschaft です。この der が[女3格]を表示しています。

つまり der Funktionsbegriff と der Verwaltungswissenschaft で、どちらも定冠詞は der なのですが、前者は[男1格]で後者は[女3格]なのです。


せっかくなので、ここで[女]の定冠詞の格変化を覚えましょう。

[女1格]die

[女2格]der

[女3格]der

[女4格]die

カタカナで「ディ|デア|デア|ディ」と10回唱えてみてください。はいこれで覚えました。


次になぜこの「行政学」 Verwaltungswissenschaft [女]が[3格]になるのかを説明します。

この論文タイトルでは、名詞「行政学」は「行政学における」という形で、これから論じていく機能概念は行政学において用いられるものだよ、ということを示しています。そしてドイツ語では、この「~における」ということを表現するために「前置詞」 in が用いられます。ここでの in の意味は、英語の前置詞の in の意味とほぼ同じです。

「前置詞」はその名の通り「名詞の前に置かれる」ものですが、なんと前置詞ごとに(あるいはその用法ごとに)、後ろに置かれる名詞の「格」が決まっています。これを前置詞の「格支配」といいます。


前置詞 in が「~における」とか「~の中で」の意味で使われるときは、この in は[3格支配]です(ちなみに「~の中へ」の意味で使われるときは[4格支配]になります)。

「行政学における」を表すために前置詞 in が用いられているために、名詞「行政学」 Verwaltungswissenschaft は[女3格]となり、そのことを定冠詞 der が表示しているわけです。


今回のまとめ

  • [女]の定冠詞の「格変化」は die, der, der, die (ディ|デア|デア|ディ)
  • 「前置詞(の用法)」ごとに名詞の格が決まっている(各支配)
  • 「~の中で」の in は[3格支配]

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2017年6月16日金曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(4)[タイトル]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(3)[タイトル]


Der Funktionsbegriff in der Verwaltungswissenschaft


「機能概念」 Funktionsbegriff は[男1格]ですが、そのことをこの名詞の前に付いている der が表示しています( Der と大文字で始まっているのはタイトルの最初だからです。文の場合も文頭は大文字で書きます。英語やその他の西洋語と同じです)。

この der は「定冠詞」です。英語の the ですね。


ところがドイツ語の場合「定冠詞」は「性数」と「格」に応じて形が変わります(「格変化」と言います)。なので

[性数]×[格]= 4 × 4 = 16 個

のスロットがあります。

ただし定冠詞の形それ自体は der, des, dem, den, das, die の6つです。なので同じ形の入るスロットがいくつもあります。具体的には der が4個、 des が2個、 dem が2個、 den が2個、 das が2個、 die が4個、の合計16スロットです。

この16スロットについては全部覚える必要があります。九九のように覚えればいいのですが、九九が81個なのに対して16個ですから覚えるのは簡単です。


今回はまず、[男]の4つの格を覚えます。

[男1格]der

[男2格]des

[男3格]dem

[男4格]den

カタカナで「デア|デス|デム|デン」と10回唱えてみてください。はいこれで覚えました。


というわけで der Funktionsbegriff の定冠詞 der は、後ろの名詞 Funktionsbegriff が[男1格]であることを表示しているのです。


今回のまとめ

  • 定冠詞の形(格変化)が名詞の「格」を表示
  • 定冠詞の「格変化」は全部で16スロット
  • [男]の定冠詞の「格変化」は der, des, dem, den (デア|デス|デム|デン)

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ルーマン読みながらドイツ語勉強(3)[タイトル]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(2)[タイトル]


Der Funktionsbegriff in der Verwaltungswissenschaft


名詞は、文の中で使われるとそのつど様々な役割を担います。

Aは|Bの|Cに|Dを|与えた。

という文を見ると、4つの名詞 A, B, C, D はそれぞれ異なる役割を与えられています。

日本語では「~は」「~の」「~に」「~を」という助詞を名詞の後ろにつけることによってこの4つの役割を明示しているわけですが、この役割を「格」と呼びます。ドイツ語ではこの格に1~4の番号を付けて区別します。


すなわち

「~は」=[1格](主語)

「~の」=[2格](所有)

「~に」=[3格](間接目的語)

「~を」=[4格](直接目的語)

です。


基本は、この日本語の助詞とドイツ語の格番号の対応を覚えておけばOKですが、この対応からはみ出す場合も出てきます。この論文のタイトル

Der Funktionsbegriff in der Verwaltungswissenschaft

でも、2個の名詞の格ははみ出す場合の例になっています。


論文タイトルは1個の「文」にはなっていなくて、名詞をぽんと置いているだけです。こういうただ「ぽんと置く」とき、名詞は[1格]です。

このタイトルだと「行政学における機能概念」のうち、「機能概念」が「ぽんと置かれている」わけです(「行政学における」はこの「機能概念」を修飾する関係で、これについてはまた後で扱います)。

なのでこのタイトル内の名詞「機能概念」 Funktionsbegriff [男]は[1格]です。性と格をあわせて[男1格]と表記することにします。


今回のまとめ

  • 文の中で名詞が担う役割を「格」と呼ぶ
  • ドイツ語の格には、日本語の助詞「~は」「~の」「~に」「~を」に対応して[1格][2格][3格][4格]の4つがある
  • 「格」には上の対応からはみ出す用法もある
  • 名詞を「ぽんと置く」だけのときは[1格]

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2017年6月15日木曜日

ルーマン読みながらドイツ語勉強(2)[タイトル]

ルーマン読みながらドイツ語勉強(1)[タイトル]


Der Funktionsbegriff in der Verwaltungswissenschaft


ドイツ語の名詞は「性」で分けられます。性は「男性」「中性」「女性」の3つです。

加えて、もちろん「単数」と「複数」の2つにも分けられます。

なので「性」×「数」= 3 × 2 = 6 通りに分けられるはずですが、実際上は「男性単数」「中性単数」「女性単数」「複数」の4つに分ければ十分です。「複数」は性を問わず一括する感じです。

この分け方の意味はおいおいわかってきます。

以下、この4つを[男][中][女][複]と表記し、まとめて「性数」と呼ぶことにします。

[男]と[中]は似ており、[女]と[複]は似ています。似ているというのがどういうことかもおいおいわかってきます。


すでに出てきている単語では

「機能」 Funktion [女]

「概念」 Begriff [男]

「行政」 Verwaltung [女]

「学」 Wissenschaft [女]

です。


[女]は語尾が特徴的なものが多いです。この例に出ているように -ion 型、 -ung 型、 -schaft 型は必ず[女]です。これらの型になる名詞は抽象的なものが多く、したがって学術論文に登場する名詞の圧倒的多数が[女]です。

性は基本的に名詞の形で決まっています。「概念」 Begriff [男]は、「掴むこと」 Griff (英 grip)に接頭辞の Be- が付いたものですが、この Griff も[男]ですし、他の接頭辞を付けた Angriff, Eingriff, Mißgriff, Rückgriff, Vorgriff, Zugriff なども全部[男]です(これらの名詞の意味はここでは関係ないので省きます)。


複合名詞は最後尾の名詞の性がその複合名詞の性になります。

「機能概念」 Funktionsbegriff であれば、[女]+[男]なので[男]。

「行政学」 Verwaltungswissenschaft であれば、[女]+[女]なので[女]です。


今回のまとめ

  • 名詞は[男][中][女][複]の4つに分けられる
  • 名詞の性数は形で決まる
  • 複合名詞の性数は最後尾の名詞の性数になる

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ルーマン読みながらドイツ語勉強(1)[タイトル]

ルーマンの論文をいちから読みながらドイツ語をいちから勉強します。


Der Funktionsbegriff in der Verwaltungswissenschaft


これが論文のタイトルで、意味は「行政学における機能概念」です。

名詞が2つありますのでそれぞれ確認しますと Funktionsbegriff が「機能概念」で Verwaltungswissenschaft が「行政学」です。

この2つはどちらも、2個の名詞がくっついて1個の名詞を作っています。それぞれの日本語訳も、「機能」と「概念」がくっついて「機能概念」、「行政」と「学」がくっついて「行政学」になっているわけですが、ドイツ語でも日本語と同じように複合名詞を作ることができます。

なお名詞の頭文字はつねに大文字で書きます。

さてドイツ語では Funktion が「機能」で Begriff が「概念」です。この2つがくっついて Funktionsbegriff になります。間に s が入っているのに注意してください。

また Verwaltung が「行政」で Wissenschaft が「学」です。この2つがくっついて Verwaltungswissenschaft になります。やはり間に s が入っています。

この2つの例のように、2個の名詞がくっついて1個の複合名詞をつくるときに、間に s が入ることがあります。とりあえずこの2例から、前方の名詞が -ion 型のときと -ung 型のときは s が入ると覚えておきましょう。


今回のまとめ

  • 名詞の頭文字はつねに大文字
  • 2個の名詞をくっつけて1個の複合名詞が作れる
  • 前方の名詞が -ion 型や -ung 型なら間に s を挟む

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